そう。
さっきから、負けただの、ズルをしただのというのは、罰ゲーム有りのバスケをしていたのだ。
元々俺は中学の頃バスケ部に所属していた。
だからバスケをしたことのない人と比べてみればできる方だった。
それでも今は帰宅部だし、だいぶ衰えたと言っても過言ではない。
ただ、たまに暇つぶしに祐大や、他の友達とバスケ…と言っても遊び半分で、ゴールを目的とした大まかなルールだけで成るバスケをしていた。
例えば、誰もが知っているトラベリングはもちろんやらないとかそういう。
それにいつも祐大は負けるのだ。
本当に一度も俺に勝ったことは無い。
負けず嫌いな祐大は今日こそ俺に勝とうと、今朝、
『昼休みになったら体育館に来い』
と、腰に手を当ててもう片方の手で俺を指さしそう言った。
「ていうかお前本当にあればズルいよな」
体育館特有の重い扉を押し開けながら俺は言った。
「あれはズルをしたわけじゃない!俺の必殺技だっ!!」
祐大は俺よりも先に体育館から出て、俺の前に立ち、腕を組んで鼻息をフンっ!と吐いた。
「何が必殺技だよ…あんなんじゃラグビーだぞお前」
そう言いながら俺はドアを閉めて祐大の横を通り過ぎる。
祐大はただただ俺からボールを奪い突っ走ってゴールしたのだ。
もうトラベリングもくそもない。
俺は真面目にやったのにな。

