「あっ、いた…」
案外広い図書室をぐるぐると探し回って、ようやくその姿を捉えた。
一番奥にある机で美春は、気持ちよさそうに寝ていた。
その無防備な姿がやっぱり愛おしい。
俺は美春の向かい側に静かに腰を下ろして、じっと美春を見つめた。
長いまつげ。
少し乱れた髪の毛。
女の子らしいぷっくりとした、柔らかそうな唇。
少しピンク色の頬。
その頬に触れたくて、そっと手を伸ばす。
「ん〜…ハッ!!そ、想ちゃん?!」
目を覚ました美春は俺が目の前にいることに驚いて、突然立ち上がり、大きな声を出した。
俺も咄嗟に伸ばしかけた手を引っ込める。
あ、あぶねー…
俺、図書室で何しようとしてんの…いやらしい。
美春のその声に図書室にいたみんなこそ驚いて、一斉にこちらを向く。
もちろんここは図書室で静かにする場所。
大声なんて出したら目立って仕方ない。

