9月中旬。







真夏のままの熱い光を放つ太陽に未だ攻撃される俺達人間。







「なぁ、想太ぁ…重たい」







「我慢して運べー」







俺達の学校にもうすぐ文化祭がやってくる。







今はその準備中。







裕大の弱音は校舎内の長い廊下に響いた。







幸い俺達の今いる4階は、音楽室とか視聴覚室とかいわゆる特別室しかないから人は居ない。







もう放課後だから余計に。







だが俺達は、文化祭の即興バンドのために放課後もせっせとライブに使う機材を体育館へと運んでいた。







ー……






『はぁ?!バンド?!お前何考えて…』






俺があまり文化祭に乗り気じゃないのを察した祐大。






ここぞとばかりに自分のやりたいことを、しかもクラスの出し物に参加しなくていいものを提案してきたのだろう。







だけど祐大のその大胆な提案に俺は半ば呆れ果てた。







『だってさだってさ想太!バンドって…モテるんだぜ?!』








「って目をキラッキラさせながら俺に訴えかけてたじゃねーかよお前。だったら準備くらいなぁ…」







俺もまぁ仕方なくというか、祐大と楽しいことがしたくてただOKしたのだった。








「そうだけどさぁ、俺はこんなんやってないで早くバンドのメンバーで練習してぇよ」








俺の言葉を遮って、祐大はハァと大袈裟にため息をついてみせた。







まぁそんなことを言いつつしっかり大事に機材を運ぶ祐大がなんだか面白い。







こいつ、見ててほんとに飽きないな。