美しい春







「ってことなんだけど…」







「おめでとおめでと!」








裕大は俺の方をバシバシ叩く。







遠慮を知らないやつだ。






結構、痛いんだよな…








次の日、学校に来た俺はまだ夢見心地をままでいた。






昨日のことを罰ゲームとして、俺に刑を下した裕大に伝える。







「まぁ昨日のうちに美春からは聞いてたけどな」






「あ、やっぱ?」






「あぁ」






裕大と美春の家は隣で、と言ってもマンションなんだけど。








お互い小さい頃からいるから、悩み事も相談しあってるみたいだ。









前に一度、俺が裕大の家に遊びに行った時、美春がいきなり家に入ってきたからびっくりした覚えがある。








「美春、すっげぇ嬉しそうだった」








そう言う裕大の顔はまるで美春の兄貴みたいで、妹に彼氏ができた時の様な反応をしていた。









一見嬉しそうだけど、








でも、








やっぱり昨日の美春と同じ、少し、悲しそうな表情だった。