悪いキス


わたしは彼に賭けてみることにした

本当は死にたいんじゃない

この今から抜け出したいだけ

彼と一緒にいれば世界は変わるかもしれない

くすんだ日常が何かに変わるかもしれない

そんな期待を抱いた

「…大丈夫、もうひとりになんてさせないから」

彼はそう呟きながらわたしをそっと抱き締めた