悪いキス

「そんな怯えた目、するなよ」

「…だって、なんだかりん先輩っていつも怖い…」

「大丈夫、怖くないよ。俺に全てゆだねてくれればいいんだ」

そういってそっと抱き締めるとせなかを手で軽くトントンと叩いた

一倫は卑怯だ

わたしが逃げられないのをいいことに

追い詰めるだけ追い詰めようとしているのだ

「りん先輩、放して」

わたしは無駄な動きはせず言葉だけで抵抗した

しかしそれがかえって一倫の何かを触発したようだった