ボートに乗ると一倫がオールを持って漕いで行く わたしは手を伸ばして水面を指でなぞっていた 冷たくて心を和ませるしぶきがたつ 近所の沼やダムとは格段にちがう透明度で湖の底が見える 「さっきから腕時計ばかり気にしてるね、そんなになんで時間が気になるの?」 そう、わたしはロッジを出た時から時計ばかりチラ見していたのだ