人間嫌いの小説家の嘘と本当


静かに深呼吸をして、震える手を抑えるように拳を握りしめる。
音のする方向から、恐らく犯人は窓際のベッドサイドのテーブル辺りにいるはず。
これなら部屋に乗り込んで、犯人の隙をつけば何とかなるかもしれない。

脳内シュミレーションを繰り返し、意を決して体当たりをするように一気にドアを開けた。



「そこまでよ!観念しなさい!!」



叫びながら部屋の中に押し入った瞬間、視界に入ったのは目の前を覆う真っ白なシーツ。

しまった、待ち伏せされた。

考えるより先に体が動いて、シーツを払い除ける。
けれど次に視界に入ったのはバチバチ音を鳴らしながら、首元に近づく青白い火花。

っ!!スタンガン?!


全てがスローモーションのようにゆっくりと見えたけれど、実際は数秒の出来事。
やられる……避ける隙もなく、そう覚悟して身を固くして目を閉じる。

しかし一向に痛みは来ず、かわりに届いたのは淡々とした侑李の声だった。



「考えなさすぎ。今のがナイフや銃なら、死んでたぞ」



え……どういうこと?
状況が掴めなくて、恐る恐る片目をゆっくりと開けた。