「ただいまぁ~って、えっ!!」
シュークリームが入った袋を片手に、鼻歌を歌いながら侑李の部屋のドアを開けると、悲惨な状況が目に入った。
床に散らばった書類。散乱した書籍。
いつもは整然と片付けられている部屋が、まるで泥棒にでも入られた後のような有様。
まさか、家の中なのに何者かに襲われた?!
でも玄関で会った櫻井さんは、いつもと変わらなかったし、いったい何がどうしたっていうの?!
「ゆ、侑李?」
混乱しながらも、恐る恐る彼の名前を呼んでみる。
必ずしも返事が返ってくるとは限らないけど、もし第三者が、まだこの部屋にいるなら何らかの反応があるかもしれない。
最悪の出来事が脳裏を掠めて、一気に鼓動が煩く鳴り始めた。

