人間嫌いの小説家の嘘と本当


まるで、こちらの行動が分かっているかのように執拗に侑李を狙う彼ら。
息抜きとは言っていても、本当の意味で気が休まる暇は無い。
ちょっと可哀想――。

それでも侑李は「夜の散歩」を止めない。
小説の為なのか、それとも何か別の理由があるのか。
まだまだ観察の余地ありって感じだ。

ひとつひとつ、彼の事が分かるたびに嬉しい気持ちが増していく。
侑李の身を守る側としては、もっと彼のことを知らなくちゃ。

ひとつ気になる事と言えば、彼の疾患のことだ。
紫外線に弱く、日差しが強い日中などに出かけてしまうと、酷い火傷を負ってしまい、寝込んでしまうということ。

櫻井さんから聞いた話だと、私と出掛けた日も本当は夜に熱を出し、酷い痛みに眠ることが出来なかったらしい。
徹夜なんて嘘までついて、どうしたいんだろう。

私は、ここに来てから書き始めた日記ならぬ「侑李観察帳」を閉じて部屋を後にした。