人間嫌いの小説家の嘘と本当


「まだ夢の中か?お仕置きが必要だな」



クスリと笑う声が背後から聞こえたかと思うと、首筋に温かなものが触れ、そしてチクッと痛みが走った。

ッ?!……まさか、今の――。



「あなた、また……」



言葉の続きが言えなかったのは振り向いた瞬間、彼の唇と重なったから。
だけど彼は動じることなく目を開けたまま無表情。

透き通るような淡青色の瞳に見つめられ動けないでいると、彼はスッと目を細め毒を吐いた。



「お前、欲求不満か?」

「っ~~~、な訳ないでしょ。着替えるから、出ていって!!」



恥ずかしさとムカつきで、顔が真っ赤になりながら、彼に枕を投げつけ追い立てる。
それを涼しい顔で交わし、私に背を向けたまま手をひらひらさせて部屋を出ていった。