人間嫌いの小説家の嘘と本当


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「おい、起きろ」



ん……なによ、人が気持ちよく寝てるのに――。
その声を避けるように、寝返りを打つ。



「いい度胸だな。主人が徹夜してたっていうのに、お前はグースカ寝やがって」



主人?徹夜?何のことだか。
どーでもいいけど、もう少し寝させてよ。
微睡みの中で文句を言いながら、布団の中に潜っていく。



「いい加減にしろ!」



その声とともに、バサッと布団を剥ぎ取られ、肌寒い空気が全身を襲う。



「ひゃっ」



布団の中と外の空気の温度の差に驚いて、慌てて飛び起きた。
でもまだ半分夢の中で、ボーッとする。