人間嫌いの小説家の嘘と本当


「さぁ、帰るぞ」



侑李は、服に付いた土や埃を払うと、何でも無かったように公園の出口へと歩き出す。

それを見て私も歩き出そうとするが、パンプスが一足無いことに気が付く。
そういえば、さっき襲ってきた男に投げたんだっけ。



「ま、待ってよ。パンプス探すの手伝ってよ」



ただでさえ足の長さが違うのに、今の状態じゃ尚更置いて行かれてしまう。
かと言って片足靴なしで歩きたくもない。

考えた挙句、片足を上げケンケンしながら歩き出し彼を追いかける。

すると面倒くさそうな顔をしながら振り向くと、まるで荷物でも抱えるように、私を持ち上げ肩に抱き上げた。



「ちょっと、降ろして。嫌だー!!」

「煩い、黙れ」



鋭い視線で一喝されて、思わず大人しくしてしまった。
前言撤回。こんなところ、直ぐに出て行ってやる!!