人間嫌いの小説家の嘘と本当


出会った夜と同じように、任せなさいと胸を叩いた。
こうなったらボディガードだろうが何だろうが、とことんやってやろうじゃないの。



「頼りにしてるよ」



頭の上にポンと大きな手を置き、ふっと表情を緩める侑李。
もしかしたら今までにも同じようなことが、沢山あったのかもしれない。

だけど相手が不特定多数ということなら、警察も大きな成果は見られなかった。
もしくは警察内部にも犯人がいた、と言うことなんだろうか。

私の中でいろいろな妄想が駆け巡る。
どちらにしろ侑李の中で"警察も信用できない"という言葉に、行き着いてしまった出来事があったのだろうと思う。

自分以外、誰も信用できない。目に映る全てのものが、敵。
そんな世界。私なら耐えられない――。

同情とかじゃないけど、こんな私でも誰かの役に立つのなら、それを精一杯してみたい。
それに侑李が声を上げて笑う顔を1度でいいから見ていたい、そう思った。