人間嫌いの小説家の嘘と本当


『君が?』

『これでも、黒帯もってるんだから』



大丈夫って両腕を腰にあてて、自信満々に大見得をきった。
すると侑李は、ニヤリと口角を上げて、こう言ったんだ。



『じゃ、俺専属のボディガードになってくれる?』



あの言葉は、冗談だったのかもしれない。
だけど、あの時の私は本気にして『任せなさいっ』と胸を張ってそう答えていた。

あぁ……思い出すと恥ずかしい。
なんであんな約束、してしまったんだろう。
お酒の勢いって恐ろしい――。
暫く、お酒は控えよう。

今更後悔しても始まらないけれど、この人のボディガードなんて私に務まるだろうか。
だいたいボディガードなんてしたことないし、何をするのかさえも分からない。

今分かっているのは、この人がアルビノっていう特殊な疾患で、誰かに狙われているというだけ。
一体、この人はどうやって今まで生活してきたんだろう。