人間嫌いの小説家の嘘と本当


そんなに強がらなくてもいいのに――。

なんでこう男って奴は、変なところでプライドが高い生き物なのか。
侑李には気付かれないように、小さく溜息をついた。



「それより、聞きたいことがあるんだけど……あいつら、何者?」



あたりを警戒しながら“敵”の情報を聞く。
けれど言いたくないのか、それとも息が切れて言葉が出ないのか、どちらにしても険しい表情をして口を閉ざしたまま何も言わない。

余程の事情なのか……仕方ない別の方向から探ってみるか。



「あなたを狙っている。それは、合ってる?」

「アイツらは、俺の――」



彼が言いかけた次の瞬間、左サイドから私達にめがけ突進してくる人影がひとつ。

私は軽い身のこなしでかわし、顎を下から一撃。
すると軽い脳震盪を起こしたのか一瞬ふらつき、その場で力なく倒れ込んだ。

まずは一人。次は、どう来る?
今感じている気配は三人。同時に来られたら、いくら私でも太刀打ちできない。



「相変わらず、強いな」