彼に対しての愛情が、急激に冷めていくのが分かる。
私、この人の何を見てきたんだろう――。
次第に、ふつふつと苛立ちと共に怒りが込み上げてきた。



「なに?聞こえない」



太腿に置いた両手を握り締め、強めな口調で問い詰める。
すると彼はビクッと肩を揺らし、口早に一気に答えた。



「取引先の部長の娘!仕方がなかったんだ。上司の推しが強くて断れなかったんだよ」



取引先の部長の娘……。

真面目で少し気が弱いところがあるから、最初から断るのは真幸の性格上出来そうにない。
納得がいく話だ。

だけど、最初に食事なりなんなりしたとしても、自分には結婚を考えている相手がいることくらい言えるでしょう。
そのままズルズルと、子供が出来るような行為までしておいて――。



「仮に……彼女が妊娠してなかったら、どうするつもりだったの?」