人間嫌いの小説家の嘘と本当


月明かりの中、スタッフに案内されてチャペルへと向かう。



「昼間もいいのですが、私としては夕方から夜にかけてが一番オススメです」



そう言ってチャペルの扉を開く。

すると目の前には、真っ白な空間の先に夜空が広がっていて思わず感嘆の声を漏らした。

天井の一部と祭壇の奥がガラス張りになっていて、そこから星や月が輝き降り注ぐ。
光と闇のコントラストがとても綺麗だった。



「どうぞ、奥へ入ってみて下さい」



そう促されて、一歩前に足を進める。
何だか、本番でないにしても厳かな雰囲気に緊張してしまう。



「行かないのか?」



私より一歩先に進んでいた侑李が手を差し出す。
彼の背中には三日月が輝き、彼に銀色の輪郭を映し出している。

あれ?この光景どこかで……。

チリチリと脳の奥が痛みを発する。それと同時に、浮かぶ映像。
『行こう』と手を差し出す少年と、今の侑李の姿が重なる。