いきなり言われて、はいそうですかなんて言えるはずもない。
理由が知りたい。彼の口から、何がどうなっているのか説明して欲しかった。

けれど彼はテーブルに額を擦りつける程に頭を下げたまま微動だにしない。
ただ「ごめん」を繰り返してばかりいる。

それが真実だと言われているみたいで、さっきまで感じていた幸せな気分が一転し、力なく椅子に背を預けた。

本当の事なんだ。別の誰かと、真幸は付き合っていて
その彼女が妊娠をした、と――。

不思議。怒りも悲しみも、今は何も感じない。
自分でも驚くほど、冷静に物事を考えられている。


二股……されてたんだ、私。
何時からだろう。相手って、どんな人なんだろう。
不意に興味が湧いた。



「……相手って誰?」