こめかみの血管がヒクヒクしながら、眼鏡を中指で押し上げる。
急がないと、血管破裂してしまいそうな勢いだ。
「俺が手伝ってやろうか?」
侑李は、まだ呑気にそんなことを言ってくるけれど、ちゃっかり服は着終えて、私待ちって感じ。
「結構です。二人とも出て行ってください」
ここは、冷静に。焦っても何もならない。
「分かったよ。じゃ外で待ってる」
意外と素直に引き下がった侑李は、櫻井さんと共に部屋を出て行った。
ようやく病室に平穏が戻り、私はひとつ安堵の溜息をつく。
けれどゆっくりとしている暇はない。
急いで下着を手にし身につけると、クローゼットから洋服を引っ張り出して着替える。
入院の時に櫻井さんが持ってきてくれた着替えやパジャマも、紙袋に押し込んで準備完了。
短期間の入院だったし、ここに来た時も手ぶら同然だったから荷物自体が少ない。

