人間嫌いの小説家の嘘と本当


「お好きなのでしょう?あなたが助けなくて、どうするのですか?」

「櫻井、いつから知って――」



目を大きく見開き見詰める侑李様。
本気で気付かれていないと思っていたのでしょうか。

あんなにも蒼井様と一緒にいるときにだけ、イキイキとしてらっしゃるのに。



「何年お側についていると思っているのですか?その辺の執事と一緒にしないでくださいませ」



私の叱咤が効いたのか、それからの侑李様は様々なツテを使い、蒼井様の居所を驚くほど短時間で探しだした。

それはもう新作を夜通し書いているときのように、物凄い集中力で――。



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「ここからは、あなたにもお話した通り。黒河様がいらして、敵の人数など把握し乗り込むことにしたのです。ココから先は、ご存知でしょう?」



一気に話終えると、柔らかい笑みを浮かべて紅茶を一口含む。
そして「少し冷めてしまいましたね」と席を立ち、奥のキッチンへと姿を消した。