唐突に肩口で聞こえた声に、ビクッと肩が揺れ飛び退く。
一方侑李はと言えば、大袈裟に耳に指を突っ込んで「煩いなぁ」と呟いていた。



「ゆ、侑李。いきなり現れないでよ。心臓止まるかと思ったでしょ?」



このデリカシー無さすぎ男。また“気持ち悪い”とか言ったな。
別に真幸の手紙で笑った訳じゃないのに――。
口を尖らせ侑李を睨み付ける。



「真幸からだよ」



ほら、と手紙を侑李の顔に押し付けた。



「お前は……手加減ってものを知ろ」



仏頂面をしたまま、手紙を顔から剥ぎ取り内容に目を通す。
「ふーん、アイツがねぇ」と、どうでもいいように呟く。

後で知った話だけど、私が廃工場で捕まっていた時、真幸が侑李に助けを求めて、この家に駆け込で来たらしい。

私を監禁した張本人ではあるけど、彼の話をちゃんと聞いて動いてくれたことに、侑李の心の広さを感じた。



「ねぇ侑李。ありがとね」