両親のお葬式を終えた後は、誰が私を引き取るかでかなり揉めたらしく、結局親戚をたらい回しされ、快く思わない人達からはイジメを受けていた頃もある。
あの頃は、少しでも早く大人になって独り立ちしたいと焦っていたように思う。
「未成年」という言葉が、あの頃はすごく嫌いだった――。
奨学金を受けて大学に入ってからは、親戚の家を出て一人暮らしを始めた。
生活費は誰にも頼ることも出来ないから、バイト三昧の毎日で大変だったけれど、それでも誰の目を気にすることなく、自由に過ごせる喜びの方が勝っていた。
そんな時に出会った真幸は、本当に王子様のように優しくて、付き合って欲しいと告白された時は、夢みたいだと嬉しかった事を思い出す。
私にも、ようやく幸せになれるんだって思っていた。
今思えば、飽きられないように頑張らなきゃって、ひとりで張り切って、真幸の気持ちを置き去りにしてしまっていたのかもしれない。
それに比べて侑李は、我儘で自己中で他人の意見なんて関係ない、我が道を往く横暴ぶり。
合わせるなんて所詮無理な話で、私も言いたい事を言って、喧嘩したり何度もぶつかって、侑李の前でだけ素の自分でいられる気がする。
早く侑李の声が聴きたい――。

