不本意だと言わんばかりに、声を絞り出す様に言った。
そして侑李に口止めされていたと前置きしてから、重い口を開く。
「アルビノという特殊な疾患の所為か幼い頃は今より、かなり身体が弱かったのです」
その言葉から始まり、櫻井さんは静かに侑李の過去を話し始めた。
幼い頃の侑李は、少し外に出ただけでも熱を出していたそうだ。
皮膚が紫外線を遮断できない分、耐性がない。
だからこそ、少しの日光でも影響が出やすいらしい。
「侑李様の体を思い、ご両親は辛い決断をしました」
それは身体の弱い侑李を、療養も兼ねて静かな別宅に住まわすということ。
物心つき始めたばかりの五歳になる前の話だそうだ。
別宅と言っても、訪れる者もあまりおらず
侑李の身の回りは全て、櫻井さんがしていたらしい。
長い長い時間が、お互いの信頼関係を強く結び、今では親子以上の存在になっているように思う。
普段のやり取りを見ていれば、二人に流れる雰囲気でそれが分かる気がした。

