人間嫌いの小説家の嘘と本当


アイシテル――?

拘束されていた両腕は自由になっているのに、そのままの体勢で彼の顔をマジマジと見つめる。
その顔は真剣そのもので、からかっているようには見えない。



「――もう一回、言って?」



信じたいけど、信じられない。
相反する想いが心を揺らし、それが反映されるように瞳が揺れる。



「……嫌だ。一回しか言わないって言っただろ」



ヤダって、可愛い。
愛しさが溢れ自然と手が動く。

私の上に覆いかぶさっている彼に触れようとするけれど、避けるように起き上がった所為で届かなかった。

ベッドの淵に私に背を向け腰掛ける侑李。
そんな彼の後ろ姿を見て、首筋まで赤く色づいていることに気が付いた。