人間嫌いの小説家の嘘と本当


タイルの上で震える私を、なだめる様に抱き起こす。
その手は壊れ物を扱うように繊細で優しい。



「……ゆ、り……わ、し……ど、し……」



まだ目の前がチカチカして、体の震えが止まらない。
痛みと震えの所為か、カタコトでしか言えない私を、侑李は優しく背中を摩って落ち着けようとしてくれた。



「すまん、やっぱり風呂は無理だったか」



安堵と後悔の入り混じった溜息を吐き抱きしめる。

チカチカが少し治まってくると、抱きしめてくれる侑李の腕や身体に、無数の擦り傷や青黒く変色した打撲の跡が目に入った。



「ゆうり……きず、ごめん」



傷口に触れようと震える手を伸ばす。

私のために、こんなに傷ついて……私、ボディーガードなのに――。
申し訳なさと悔しさで涙が込み上げてくる。



「俺は男だからな、このくらい平気だ。落ち着いたか?ったく、世話の焼ける奴」