人間嫌いの小説家の嘘と本当


「ちょっ、侑李」



彼のシャツを掴み抗議する。
けれど足に力が入らない所為か、後ろから抱き付く形になってしまう。



「怪我人は黙ってろ」



低く、反論を許さない声。
怪我人って、侑李もそうじゃない。

でも頭の切れる彼のことだ。何か考えがあるのかもしれない。
そう思い、私は彼の動向を黙って見守ることにした。



「お前、俺の体の一部が欲しいんだよな」



今まで争っていた男たちが周りを囲み、静かに私たちのやり取りを見つめている。



「えぇ。その通りです」



執事は物腰の柔らかな笑顔を浮かべ肯定をした。



「だったら、手だろうが足だろうが好きなようにすればいい」