人間嫌いの小説家の嘘と本当


一瞬、驚いたように大きく目を見開いたけれど、直ぐに悔しそうに下唇を噛み、押し黙ってしまった。

これでもダメなの?侑李が来るのを、ここで待つ事しかないの?

期待と不安が入り混じりながら彼を見詰めるけれど、下を向いたまま微動だにしない。
真幸お願い。私を侑李のところへ行かせて――。

神にも祈る思いで、彼の言葉を待つ。

暫くして、ようやく聞こえたのは「そっか」と言う溜め息混じりの声だった。
何がそっかよ。勝手に一人で納得してないで、何か言ってよ。



「真幸?」



彼の答えを聞きたくて、急かすように名前を呼ぶ。
けれど私の望んだ答えは、彼の口からは聞けなかった。



「今まで悪かった」



真幸はそういうと、私の体を支え立ち上がらせると、さっきまで横になっていたソファに座らせる。

そして縛られた手首の血が滲んでいる部分にハンカチを当て、簡易的に手当てをしてくれた。



「ゴメン。これくらいしか、今の俺には出来ない」