人間嫌いの小説家の嘘と本当


「こんなことをされても、何もできないのによく言うよ」



外国の血が混じっているのか、少し日本人離れした端正な顔立ち。

きっと十代後半から二十代前半といったところか。
けれど言葉は日本語だし、淀みなく流暢に話せていると言うことは、それだけ日本に馴染んでいるんだと思う。



「侑李は私の主なの。貴方も執事なら分かるでしょ?私にとって一番大切な人なの」



侑李にとっては一人の使用人だとしても、私にとっては唯一無二の存在だ。
何に変えても、失いたくない人。

真っ直ぐに彼を見詰め返し、迷いのない意思を伝える。



「ふっ、君の忠誠心には感服するよ。けれど僕にも主がいるからね。主がyesと言えば、悪でも全てが善になるんだ」



私の顎から手を放し、高らかに笑い声をあげる彼。
笑う程に何が可笑しいのか分からない。
だけどこれだけは言える。彼の言っていることは間違っている。