愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「ねぇ、今日は璃愛も出待ちするよね?」

「え?い、いえ…遅くなったので、ダッシュで帰らないと…」

「あ、そっか。
璃愛の家はお母さんが厳しいって言ってたよね。
あ、だったら、友達の家に泊まるとかいうのは無理?
何なら、本当にうちに泊まっても良いし。」

「……お母さん、かなり厳しいので、そういうことはちょっと…」

本当のことなんて言えないし、私は苦笑いを浮かべるしかなかった。



「そっか…残念だけど仕方ないね。
じゃあ、またキースやオルガの画像撮れたら送るね!」

「あ、ありがとうございます!」

あくまでも私はキースさんとオルガさんなんだ。



(……ん?)



それで間違いはないよね?
なんで、一瞬、違和感を感じちゃったんだろう?
考えてもよくわからない。



(ま、いっか…)



私達は、スタッフさんに追い出されるようにして会場を後にした。
外には今日出演したバンドのメンバーさんやファンの子がごった返していた。
私も出待ちしてみたい気持ちはあるものの、やっぱり瑠威やママと顔を合わせるのは照れ臭すぎる。
二人だって、どう接すれば良いか困るだろうし。



「じゃあ、お先に失礼します。」

「気を付けてね!」

「あとでLINEするから…!」

後ろ髪をひかれる想いで、私はその場所を後にした。