愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

そんなことを考えてたら、さゆみが肘で私を小突いて、ピースサインをした。
……どういうこと?
今のは私の思い込みじゃなくて、本当に私に笑ってくれたってこと?



(嘘……)



でも、なんか嬉しいな。
にやけてしまいそうになるのを、必死で食い止め、素知らぬ顔をした。
でも、恥ずかしくってキースさんのことが見られない。
俯いたまま、手だけ振り上げてノリ続けた。
やがて、ギターソロになり、周りの歓声が急に大きくなった。
隣のハルさんに背中を叩かれて顔を上げると、キースさんがちょうど前に出て来てて…その時、目が合ったと思ったら、キースさんは片目を瞑って…



(えっ!?今のは……)



違うよね…うん、絶対に違うよ。
たまたま目に何か入ったかなんかだよ。
決して、私にウィンクをしたわけじゃない。



そう思うのに、ドキドキが止まらない。
なんだか顔が火照ってる。
真っ赤になってたらどうしよう?
噴出してくる汗を拭いながら、私はまた俯いて、高鳴る胸を押さえ込んだ。