愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「キースさん、もうじき出番なんじゃないんですか?
なんでこんなところに?」

さゆみが横から口をはさんだ。



「うん、向井に用事があるんやけど、みつからへんねん。
君ら、向井のこと、見ーへんかった?」



向井…なんか聞いたことある…
……あ、そうだ!CDを出してくれた人だ。
多分、マネージャーさん?



「キースさん、あそこ!」



私たちの会話を聞いてたと思われる女の子が、大きな声を上げてお店の方を指さした。
そこには、向井さんがいた。



「あ!ありがとう…」

キースさんは女の子に手を振り、駆け出してすぐに私たちの方を振り返った。



「今日のライブ、楽しんでな!」

「あ、は、はい!
頑張って下さいね!」

「ありがとう!」

キースさんは手を振って、向井さんのところに走って行った。



(やっぱり、キースさんって感じの良い人…)



「キースさん…やっぱりあんたのこと覚えてたね。」

「え?そ、そんなの、たまたまだよ。」

「良かったじゃん。
ねぇ、あんたもキースさんに頑張ってみたら?
なんかけっこう気に入られてるみたいだし、本当にうまくいくかもしれないよ。」

「馬鹿なこと言わないでよ。
私、そんな……」



ふと、さっきの女の子と目が合った。
なんかすごく怖い顔してる…



「エミリー…トイレに行こうよ。
化粧直さなきゃ。」

「あ、そうだね。」