愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「みんな、お待たせ!」



キースさんの言葉をきっかけに演奏が再開された。



良かった…
ライブがあれでおしまいにならなくて…



その後、リクさんはタイトルを叫ぶくらいで、いつもみたいに話すことはなかった。
その分、キースさんがおしゃべりをして場を和ませる。
リクさんは、やっぱりまだ怒ってるのかもしれない。
それは心配だったけど、なんとかライブは無事に終了した。

アンコールでは、ロシアンさんや最初の方に出た新人っぽいバンドさんのメンバー達と一緒にセッションがあって…
むちゃくちゃ盛り上がった。



「荷物見てくれてて、どうもありがとう。」

「いえ…あ、大丈夫でしたか?」

「え?あ、は、はい。」

かつらはちょっとずれてるみたいだけど…まぁ大丈夫。
陵君、私が髪を引っ張られるところ、見てたのかな?



「エミリーさんも大丈夫でしたか?」

「うん。私は、全然平気。」

ちょっとゆっくりしたい気分だったけど、早くも会場は片付けに入ってる。
のんびりとはしてられない雰囲気だ。



「璃愛も出待ちするよね?」

「あ…私……」

どうしよう?
心配だし、リクさんに会いたい気持ちはあるけど…今日は会わずに帰った方が良いんじゃないかな?
なぜだかそう思った。
それに、今日はあまり時間もないみたいだし、そんなに話せるとは思えないから。



「私…今夜は帰ります。」

「え?なんで?」

「遅くなりましたし、なんか疲れちゃって…」

「そうなんだ…残念だね。
じゃあ、気を付けてね。」

また誰かに意地悪されたらいやだから、私は駅まで早足で向かった。