愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

(あれ~??)



「ねぇ、さゆみ…あの人、どこかで会ったことない?」

男の人がドリンクを取りに行った時、私はさゆみにそんなことを訊ねた。
確か、どこかで会ったような気がするものの…どこでだったのかは思い出せない。



「そう?私は全然記憶にないけど…」

「だったら、私の勘違いかな。」



しばらくすると、男の人がドリンクとポテトフライを持って戻って来た。

「あの、良かったらつまんで下さい。」

男の人はテーブルの真ん中にポテトフライを置いた。



「あ、ありがとうございます。」



知らない人が同じテーブルにいるっていうのは、なんとなく照れくさい、おかしな雰囲気だ。



「皆さん、シュバルツのファンなんですよね?」

「え?なんで知ってるんですか?」

「この間の打ち上げの時に…
あなたがリクさんに本気だって言ったの…すごく格好良かったですよ。」

「え……!?」

さゆみは恥ずかしそうに頬を赤らめる。
その時、私は思い出した。



「あ、あなた…キースさんと話してた…
一番はオルガさんだけど、キースさんも大好きって言ってた…」

「わぁ、恥ずかしいな。
あの時、僕、かなり緊張してて…キースさんに『オルガさんが一番だけど…』なんて失礼なこと言っちゃったのに、キースさんは嫌な顔ひとつしないし優しいし…
僕、あれからますますキースさんのファンになったんですよ。」

あの時と比べると、髪も少し伸びて、着ているものもずいぶん格好良くなっていた。
だから、すぐには思い出せなかったのかもしれない。
それをきっかけに、共通のバンドのファンってこともあって、その人…陵君との会話はけっこう盛り上がった。