愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「テーブルがあるとは思わなかったね。」

「そうですね。私もここは初めてなので、知りませんでした。」

私達は前から二つ目のテーブルを取って、そこに陣取った。
けっこう広いライブハウスだけど、みるみるうちに席が埋まっていく。



ハルさんのスマホにLINEの着信の音が響いた。

「あ、ハルからだ。
だいぶ遅くなりそうなんだって。
エミリーの推測通り、CLOWNがラストなら良いけど、ロシアンが最後だったら間に合わないかもしれないね。」

「そうなんですか…」

飲み物や食べ物を取って来て…その間に後ろの方には立ち見の人もちらほら出始めた。



「けっこう入ってるね。
あんた達が早く来てくれて助かったよ。」

「いえ…いつもキラさんにはお世話になってますから…」



「あのぉ……」



不意にかけられた声に私達が一斉に顔を上げると、そこには男の人が立っていた。



「はい…何か?」

「あのぉ…良かったら、ここ、座らせてもらっても良いですか?」

「あ、すみません、ここは…」

「良いよ、ハルは来られるかどうかわからないし、来るとしても遅いから…
あ、どうぞ。」

「ありがとうございます!」

男の人は嬉しそうにして、席に座った。