愛しのカレはV(ヴィジュアル)系





さゆみには、やっぱりデートのことは話せなかった。
ママや瑠威にも当然秘密…
水族館にはさゆみと行って来たって嘘を吐いた。


リクさんとは毎日LINEしてるから、いつもよりちょっぴり気分は浮かれてるけど…
普段通りの日々が続いた。
そんなある日のこと……



「よう!」

「リクさん!」
ど、どうしてここに?」

「今日はバイトだって言ってたじゃないか。だから、ここにいたら会えるかなぁと思って…」

あぁ、また不意打ちだ…!
言っといてくれたら、もう少しましな格好して来たのに…
今日は、家具を少し動かして汗かいたし、化粧ももうよれよれだよ。



「ところで、何食べる?」

そんな私の気持ちも知らず、リクさんは暢気なことを言う。



「リクさんにお任せします。」

「そっか…じゃ、頼んで来るな。」

リクさんがいなくなったのを見計らって、脂取り紙でてかりを抑える。
無駄な抵抗だけど、やらないよりはましだろう。



「ピザにした。
食べられるよな?」

「はい。大好きです。」

「明日のライブは当然来るよな?」

「はい、もちろんです。」

「最初から見る?」

「はい、そのつもりです。」

「浮気すんなよ。」

「えっ!?」

浮気って…どういうこと?
リクさんが急におかしなことを言うから、顔が熱くなって来た。



「明日、ロシアン・ルーレットも出るんだ。
……知ってるだろ?」

ロシアン・ルーレット……?
あ!前のイベントで見たことあった…可愛いメイドさんの格好の人がいるバンドだよ。

「はい、知ってます。」

「あいつら、けっこう曲が良いからなぁ…
しかも、見た目も格好良い…」

あ、浮気って…他のバンドに目移りすんなってことなんだね。