愛しのカレはV(ヴィジュアル)系





「落ち着いたか?」

「……はい。」

ゴンドラを下りてからも、しばらく震えがおさまらなかった。
リクさんは、そんな私をずっと抱きしめていてくれて…



「ごめんな、ふざけ過ぎた。
本当にキスするつもりはなかったし…それに、あんなにいやがるなんて思わなかったんだ。
俺…ちょっとショック…」

「ち、違うんです!
わ、私…実は高い所が苦手で…ゴンドラが落ちるかもって思ったら、すごく怖くなっちゃって…」

「はぁ?ゴンドラが落ちるはずなんてないだろ?」

「だ、だって、リクさんが…」

リクさんは、少し考えて呆れたような顔をした。



「あぁ…確かに俺がそう言った。
すまん。」

そんなに素直に謝られると、調子狂っちゃうんだけど…



「それにしても、おまえって思った以上の不思議ちゃんだな。」

リクさんはそう言うと小さく笑って…
私の前に手を差し出した。



「もう大丈夫だよな?」

「は、はい。」

私は、そっとリクさんの手に自分の手を重ねた。
ちょっと恥ずかしかったけど、これは特別意味のあることじゃないから…
そう思ってたけど…立ち上がっても、リクさんは私の手を離さなかった。
歩いてるうちに、どんどん恥ずかしさが募って来る。
なのに、どこか誇らしい…



リクさんが向かったのは、さっきのパワーストーンのお店だった。



「あ、出来てますよ。」

店員さんは私達のことを覚えてたようで、店の中に入るなりそう声を掛けた。



「こちらになります。」

店員さんが見せてくれたのは、綺麗なおそろいのブレスレットだった。
水晶に赤い石と青い石とキラキラ光る金具が組み合わせてある。
リクさんのは私のより、玉の大きさが大きい。



(あ……)



真ん中のちょっと大きめの赤い石に『R』の刻印があった。
リクさんのには『M』
『R』は多分『リク』のRだよね?じゃあ『M』は…?



(あ、望結のMか…)



いつも『ヅラ子』って呼ばれてるから、一瞬わからなかったけど…
リクさん…私の本名、憶えててくれたんだ…
さゆみだって、私のことは望結じゃなくて璃愛って呼ぶのに…



そんなことを思ったら、なんだか胸が熱くなった。