愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「あ、これ。」

リクさんが食後のコーヒーを飲みながら、お土産屋さんの袋を差し出した。



「何…ですか?」

「初デートの記念。」

袋の中にはマンボウのぬいぐるみが入ってた。



「あ、ありがとうございます。」

「なんか、おまえに似てたから。」

……どういうこと!?
私が、マンボウみたいに面白い顔してるってこと!?

ちょっとむっとはしたものの…嬉しいのは事実。
私、リクさんにプレゼントすることなんて思いつかなかった。
本当に気が利かないな…



(あ……)



そういえば、さっきリクさんが買ってたぬいぐるみは二つ。
マンボウとイルカだった。
一つは私にくれたけど…イルカは誰にあげるんだろう?



「これからどうしよう?このあたり、ぶらっとしようか。」

「そ、そうですね。」

水族館の周りには、ショッピングモールとちょっとした遊園地風のものが併設されている。
ぶらぶらするだけでも、退屈はしなさそう。



洋服や靴を見たり、おもちゃ屋さんや百均をのぞいたり…
何も買わなくても、なんだか楽しい。
あ、でも、マンボウのお返しに私も何かリクさんに買わなきゃ。
そう思うのだけど、どんなのを買えば良いのかよくわからない。



「あ、石…」

リクさんがそう呟いて歩き出した先は、パワーストーンのお店だった。



「ヅラ子、石、好きか?」

「え?私…よくわからなくて…」

「何か、おそろのもの買おう。」

リクさんはお店の中に入って行き、私もそのあとに続いた。



「えっと、水晶をベースにロードクロサイトを混ぜて…」

リクさんは、店員さんに何かを話してたけど、私には『水晶』しかわからなかった。
どうやら、ブレスレットを作ってもらうみたい。
私はその間、お店の中をぶらっと見て回った。
水晶と、ローズクオーツっていうのとラピスラズリっていうのしか知らないけど…パワーストーンっていろんな種類があるんだね。
見たことのない石がたくさんあった。



「じゃあ、後で取りに来ます。」

そう言うと、リクさんは店を後にした。