愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「うわぁ、大きい!」



人間なんて簡単に呑み込めそうなジンベエザメの大きな口…
ふよふよ泳ぐマンボウはユーモラスで…
マンタはまるで宇宙を飛んでいるみたい…
てかてかの鰯の群れに、意外と可愛いクラゲたち…



水族館なんて何年ぶりだろう?
何年生だったかは忘れたけど…多分、小学校の遠足以来だよ。
私はすっかり童心に帰って、水槽の中の生物に見入った。
リクさんは黙って見てたけど、その顔は楽しそうに見えた。
こういう場所は家族連れで来る所だと思ってたけど、周りを見渡せばカップルもけっこういる。
デートコースでもあるのかな?



「あ、ちょっと、そこ、のぞいて行こう。」

魚たちを堪能してから、お土産屋さんに入った。



(あ、可愛い!)



ペンギンのぬいぐるみに思わず手が伸びる。
さゆみに買って帰ろうか…って思ったんだけど…すぐに思い直した。
そんなの渡せない。
リクさんとのデートで行った所のお土産なんて…
私は、ぬいぐるみをそっと戻した。



ママと瑠威には、クッキーを買った。
ふと見ると、リクさんはマンボウとペンギンのぬいぐるみを買っていた。
私は気付かないふりをして、そこらの商品を見ていた。



(ぬいぐるみなんて、誰に買ったんだろう?)