愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「よう!相変わらず早いな!」



片手を上げて頬笑むリクさんが歩いて来る。
私はそれに小さく会釈して…

やっぱりリクさんって目立つよね。
長い髪は束ねてあるけど、背も高いし、いかにもロッカーって感じの服装だし…



「じゃ、行こうか。」

「は、はい。」

答えたのに、リクさんはその場から動かない。



「あれ?腕組んだり、手つないだりしないの?」

「ま、まだお試し期間ですから!」

私がそう言うと、リクさんはくすっと笑って歩き始めた。



「早くに来てたのか?」

「い、いえ、私もついさっき来たばかりです。」

なぜだかそんな嘘を吐いてしまった。



雑踏の中、リクさんは目的を持って歩いていく。
私はいつもよりちょっと早く足を動かして、リクさんの隣をちょこまか歩いた。
その間にも、女の子の視線を感じた。
やっぱりリクさん、目立つんだよ。
周りの人達には、あんな格好良い人に、なんであんな冴えない女が付いてるんだろう?って思われてるのかもしれない。



「あ、あの…リクさん…今日はどこに?」

「魚。」

「さかな??」

意味が分からないけど…リクさんはあまりそのことは話したくないみたい。
違うことばかり話してくる。
そのまましばらく歩いて着いた先は水族館だった。



(なるほど、確かに魚だね…)