愛しのカレはV(ヴィジュアル)系





「ヅラちゃん…大丈夫か?」

「は、はい…」



情けない…もう成人式も済ませてるっていうのに、こんなにマジで泣いちゃって…



「あ~あ…酷い顔して…
顔洗って来たらどうだ?」

リクさんは私の顔を見て噴き出した。



「こら、リク…!
そんなことゆうたんなや。
ヅラちゃんが泣いたんはおまえのせいやろ。」

そ、そっか。
私、今、そんなにひどい顔してるんだ。
そうだよね。
あんなに泣いちゃったんだもん。
顔も思いっきりつっぱてるし。
あ~あ、今日はつけまつげも付けて来たのに…



「ちょっと顔洗って来ます。」

私はお手洗いに向かって走った。



(うわわわわ……)



洗面所の鏡に映ったその顔は、信じられないものだった。
瞼は腫れあがり、しかも目の周りは真っ黒で、片方のつけまつげは取れてほっぺたに張り付き…さらに鼻は真っ赤で…



(……酷すぎる!!)



こりゃ、リクさんが笑うのも無理ないよ。
私は、冷たい水でざばざばと顔を洗った。



「璃愛…大丈夫?」

背中からかけられた声は、聞き慣れたさゆみのもの。
振り返った私に、さゆみはハンカチを差し出してくれた。



「あ、ありがとう。」

「あ~あ…襟がびしょ濡れじゃない。」

「あ…」

「お化粧道具取って来ようか?」

「あ…ごめんね。」

気まずい…すごく気まずいよ。
どうしよう…さゆみにはどう言えば良いかな?
顔の事よりも、そのことの方が気になった。