愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「ヅラちゃん…?
どうかした?」

「……え?
あ、あの、えっと、お二人は彼女さんは?」

わ、焦って変なこと聞いちゃった!



「え?彼女?僕には、いっぱいおんで。」

「そ、そうなんですか?」

いっぱいって…
まさか、キースさん…何股もしてるってこと!?



「なんせ僕のファンは、みんな僕の彼女みたいなもんやから…」

「何言ってんだ、おまえ…」

リクさんが苦笑する。
なぁんだ、キースさんの言ったことは冗談か…
やっぱり、そんなプライベートな質問に、まともに答えてくれるはずなんてないよね。
瑠威が言ってたもんね。
バンドマンはとにかくモテるから、女は選り取り見取りなんだって。
二人にも彼女さんがいないはずがない。
馬鹿なこと、聞いちゃったよ、まったく…



「ほんまは二人ともいてへんねん。」

「……え?」

「ヅラちゃん、よう考えてみ。
僕ら、ほぼ毎日バイトして、練習して…
それで時を消費してしまう。
だいたい、今まで僕ら二人でハイキング行ってたんやで。
彼女がおったら、なんでリクなんかとハイキングせなあかんねんな。
彼女と行くわ。」

「うるせぇ!それはこっちのセリフだ!」

二人のやりとりが漫才みたいで思わず笑ってしまったけど…でも、これもやっぱり演技なのかな?
彼女さんがいるなんて、ファンの前では言いにくいのかな?



「そういえば、ヅラちゃんは、彼氏おんの?」

「え?い、いません!」

「ほんまかぁ~??」

「ほ、ほんま…じゃない、本当です!
私もさゆみも全然モテないし、合コンも行ったことないし…
ライブに行くようになる前は、いつも部室に閉じこもって手芸ばっかりしてて…
本当に地味でつまらない女なんです。」

私が焦ってそう言うと、二人はくすっと笑った。