愛しのカレはV(ヴィジュアル)系





言われたカラオケは、本当に駅の真ん前だった。
どうやら、私達の方がリクさんより早かったみたいだ。



「リクもそろそろ来るやろ。
とりあえず、ここらで待っとこか。」

私達はカラオケの前でリクさんを待つことにした。



「ね?今から、そこらへんで化粧品買って…せめて顔だけでもなんとかしようか?」

さゆみが私の耳元で囁いた。



「さゆみ…残念だけど、諦めた方が良いと思うよ。
きっと、そんな時間ないし。」

「でも、30分もあればなんとかなるんじゃない?」

「30分もないんじゃ…」



「遅れてごめん!電車、一本乗り遅れて…」



息を弾ませたリクさんの声に、ゆっくりと振り向く…
一瞬、リクさんの目が私達を見て大きく開かれて…
次の瞬間、肩を揺らしてくすくすと笑った。



「どうしたんだ、今日は…」

「こら、リク!何わろてんねん、失礼やろ!」

もういいって。
キースさんの気遣いが、却って辛いよ…



「とにかく、中に入ろう!」

リクさんは笑いをこらえながら、そう言った。



さゆみは暗い顔をしてたけど…でも、もう諦めたらしく、黙って、リクさんの後に続いた。