愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「あら?裏地はまだ切ってないの?」

「あ…」

私とさゆみは思わず顔を見合わせた。
そうだよね…裏地もいるんだ…
そこまで気が回らなかったよ。



「忘れてました。明日買って来ます。」

「そう、それじゃあ、まずは接着芯を…」

「え?」

「あら、それも忘れてたの?」

違うよ…そもそも接着芯っていうのを知らないんだよ…
ママは強張った薄い布を引き出しから出してくれた。



「これを襟の部分と、袖口と前見立てにアイロンで貼るのよ。
まずは、この型紙通りに芯を切って…」

家庭科では確かこんなの付けなかったはずだけど…
でも、そんなことは言ってられない。
ママに言われた通りに接着芯を貼り付けた。



「じゃあ、次は生地のほつれ止めね。
さゆみちゃん、ミシンは使える?」

「は、はい、ずいぶん使ってないけど、なんとか大丈夫だと思います。」

ママにミシンの使い方を教えてもらって、恐る恐るミシンを使った。



「後はしつけ糸で…」

「あ……」

「しつけ糸も忘れてた?」

「……はい。」

さゆみはバツの悪そうな顔で、苦笑いをする。
ママは微笑みながら、引き出しからしつけ糸を出してくれた。



「じゃあ、これでしつけをかけて、それが出来たら、各部分のロックね。
私はお店にいるから、何かわからないことがあったら、声かけてね。」

「はい、どうもありがとうございます。」