愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「さゆみちゃんは、もちろん、ミシンは持ってるのよね?」

「うん、持ってるって。」

「でも、普通のミシンよね?」

「…普通じゃないのもあるの?」

馬鹿な質問をしてるのかもしれないけど…
私はそんなことすら知らなかった。



「そうなの。生地によっては、工業用ミシンでしか縫えないものもあるから…
ほら、この間のライブで瑠威が着てたレザー風の衣装…あれなんて、普通の家庭用ミシンじゃ縫えないのよ。」

「そ、そうなんだ…」

知らなかった。そんなこと、何も知らなかったよ…



「だから、最初は家庭用ミシンで縫える生地から始めなきゃね。
これからの季節だとベルベットなんてどうかしら?
それにファーを付けたりしたら、ゴージャスな雰囲気になるんじゃない?
デザインはもう決まってるの?」

「ううん、まだ…今、考えてるみたいだよ。
ねぇ、ママ…その工業用ミシンっていうのは高いの?」

「そうね、多分、2~30万はすると思うわ。」

「えっ!そんなに!?
ママ、そんな高いミシン持ってるの?」

「ええ…ママは、昔の知り合いの人に中古を譲ってもらったんだけどね。」



なんでも、その工業用ミシンはお店に置いてるらしく、家には家庭用ミシンがあるんだって。