愛しのカレはV(ヴィジュアル)系





『ママに聞いてみてね。』

『うん、わかった。』

さゆみはすでにテンションが上がっている。
大盛り上がりだ。
別れてすぐにLINEが入った。
明日、衣装の生地を買いに行きたいから、どこの店が良いか、ママに聞いといてほしいってことだった。
大きな手芸屋さんはいくつか知ってるけど…特別な生地を扱ってるお店をママなら知ってるだろうって。



デザインは、今夜決めるらしい。
確かにさゆみは何をするのも早いけど、そんなに早く決まるのかな?



そういえば、ママが衣装を作ってるところって見たことないな。
ミシンはお店にあるはずだ。
……ん?いや、自分の部屋に閉じこもってることがたまにあった…
じゃあ、ミシンは家にあるのかな?



考えてみたら、衣装のことなんて、気にしたこともなかった。
ママがどんな風に作ってるのか、知りたいと思ったこともなかったよね…



なんだか、冷たい娘だね。
私にも何かちょっとくらい手伝えることもあったかもしれないのに、そんなことを考えたこともなかった。



そう…ママは、私と違ってなんでもそつなく出来る人だから、何かを手伝ってもらうことはあっても、手伝おうと思ったことがなかったんだ。
家のことは、子供の頃からけっこう自分の役目って思ってたから、『手伝ってる』っていう意識はなかったし。



(もうちょっと、ママに関心持つべきかもしれないね…)



ふと、私はそんなことを思った。