愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「ぷはー!
ライブ後のビールは最高だな!
みんな、楽しんでるか?」

「はーい!」

ファンの子が揃って声を上げる。



「うん、良い子だ。
うちのファンは、みんな仲良くてトラブルもないし、最高だな!」

「ほんまですね。
こんな僕らにもようしてくれはるし、ほんま、シュバルツさんのファンは最高やな。」

「こいつらまだあんまり売れてないから、良かったらみんなCLOWNのライブにも行ってやってくれよな。
ま、俺たち程じゃないけど、そこそこ良い音楽やってるから。」

「そこそこてなんですの。そこそこて。
そんなんゆうたら、誰も来てくれへんやないですか!
めっちゃええてゆうてくれはらな。」

キースさんのおかげで、その場の雰囲気が和んだ。
それにしても、ついさっき、まずいことがあったっていうのに、瑠威はそんなことも知らないで良く言うよ…
シュバルツファンには、怖い人もいるんだから。



「みんな、今夜は思いっきり楽しんでくれよ!
でも、終電には遅れないようにな。」

「サインとか写真はOKなんですか?」

「もちろんだ。」

瑠威の返答に、また大きな歓声が上がる。
それからすぐにみんながスマホを持ちだして…
メンバーのテーブルの周りは、すぐにファンの子で囲まれた。
キラさんとハルさんも、いつの間にか席を離れていた。



「あぁ、やっぱりシュバルツさんはすごい人気もんやなぁ…
うらやましい…」

「誰か、こいつらのとこにも行ってやって。」

「お情けかいな。
あ~あ…涙出そうや。」

わざと大袈裟にそう言ったキースさんのところに、男の子が近寄った。
それなりに頑張ってはいるけど、まだ髪も短いし、服装もそれほど派手じゃない。



「僕…この前のイベントで初めてCLOWNさんを見て、ファンになりました。
あ…一番はオルガさんなんですけど、キースさんのことも大好きです。」

「ありがとう~!」

キースさんは立ち上がって、男の子をハグする。



「僕、最近ギター始めたんです。」

「そうか、頑張りや。」

「は、はい!あ、あの、握手してもらって良いですか?」

「もちろんや。」

握手してもらって、その人は顔を赤らめ、嬉しそうに微笑んでいた。