透也くんが、そう叫んだのなんて

聞こえない。



「宙人。宙人。

ねぇ。起きてよ。

宙人!」


あたしは、ただ宙人に呼びかけ続けた。


「美桜!落ち着いて!」


瑠莉が、あたしの肩を掴んで


自分のほうへと向けた。


「落ち着いてなんていられないよ!」


「宙人は、大丈夫。

大丈夫だから。

どうしてそんなに焦ってるの?」


あたしが、こんなに焦る理由…。
それは…。


「あたしは…。もう…。もう大切な人が

いなくなるのを、見たくないの!」




倒れていく宙人の姿が。

ママが倒れた時と同じ光景だったから…。