そんな過去が、宙人にはある。
きっと、その時の状況と今がどこか似ていて。
宙人の気持ちを、弱くしてるんだと思う。
今、あたしのされたことを
言ったりしたら
本当に、なにをするかわからない。
だから、宙人には言わない。
「そういうわけじゃないよ。
本当に、転んだだけだから。
宙人は、心配しすぎだって!」
あはは、とあたしは笑った。
この暗い雰囲気。
あたしは、嫌だ。
状況は、ちょっとあれだけど
宙人との、せっかくの2人きりの時間。
あたしは、楽しくしたい。
「美桜は、いつもそうだよな。
肝心な時は、いつもいつも俺になにも言わない。
中学の時も、そうだった。
先輩に、告られてたこと、俺噂になってから初めて知ったよ。
俺って、そんな頼りないか?」

