こころをひろいあげて

私はそんな彼をただ見ているだけじゃいられなかった


私は無意識…いや本能で彼を抱きしめた。


「俺の何がダメだったのか分かんねぇ…」


辛そうでちょっと裏返った声、掠れた声


私も胸が痛かった、まるで締めあげられるようだった


「俺どうすればいい?先輩といたいけど、先輩は俺の事何も思ってねぇ」


「私と……」


言いかけた言葉を押し殺した。


「大丈夫だよ……」


そして、背中をぽんぽんと叩いた。